2026年07月23日

峯岸 律子氏(環境省 地球環境局 国際連携課 課長補佐(総括)地球環境審議官補佐官)による「福島県の環境再生の歩みと復興再生土について」をテーマとした場勉強会を開催しました。

本勉強会は2部構成で行われ、第1部は環境省についての講演でした。
環境省は「人の命と環境を守る」ということを理念としており、現在は気候変動対策、生物多様性など、様々な地球規模の環境課題に取り組んでいます。これらの環境政策を実施していくにあたっては、何かを我慢し負担するのではなく、シナジー効果を発揮しそれぞれがwin-winになるよう、経済・社会的課題を総合して同時解決につなげていくことが重要、とのことでした。例えば脱炭素達成のための洋上風力活用は海洋環境に影響が出る、といったトレードオフの関係が生じた場合も、これらの問題を切り離さずに総合的に考え同時解決する道筋につなげ、未来につながるような技術開発も行っているとのことでした。
環境省が規制や技術開発等の制度だけでなく、このような将来世代や自然環境、人類全体といった目に見えない部分にも意識を向けた取り組みを積み重ねてきたことが、福島の復興事業につながっていったとのことでした。
第2部では福島県の環境再生の歩みと復興再生土についての実際の環境省の取り組みについての講演でした。原発事故後、今後の帰還は難しいとされる帰還困難区域を除染することについて議論があった中、たとえ何年かかっても復興をやり遂げる、という当時の総理大臣の意思を受けて、「帰りたい」という人々がいる地域は除染をしながら環境再生していく、という方針に転換しました。除染は生活環境でいかに汚染を減らしていくかに加え、住民の意思やコミュニティの維持にも配慮しながら行われ、その結果、現在の福島県内の主要都市の空間線量は海外主要都市と同水準になりました
除染に伴い発生した除去土壌(東京ドーム約11杯分)は、地元の方々が提供してくれた土地(渋谷区と同程度の広さ)に設置された、複数の中間貯蔵施設に運ばれました
除去土壌等は2045年3月までに福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることと法律で規定されており、この実現には全体の4分の3にあたる8000Bq/kg以下の土壌を再生利用し最終処分量を低減する必要があります。再生利用方法には農地造成の盛土材や道路の盛土への利用が考えられ、様々な実証実験から耐久性や安定性を確認するとともに、年間追加線量はIAEAの安全基準に合致するという結論が示されました。
一方、国全体の問題である復興再生土の県外最終処分・再生利用について認知度が低いという問題があり、現在、様々な情報発信に取り組んでいます。また、地域やステークホルダーとの関係作りが不可欠であり、福島で中間貯蔵施設事業を行うにあたっては、地元の声を丁寧に聴いてできる限りの対応方法を探す、地域のつながりが戻るよう一緒に活動するといったことを大切にしたとのことでした。県外での受け入れにあたり、安全性に問題ないということは理解できても心情的に受け入れられない、との声が出た場合も、対話を続けて合意形成につなげ、受け入れてくれたことを伝え続けることが大切では、とのことでした。