2007年01月11日

第一ラジオアイソトープ研究所 千葉工場

株式会社第一ラジオアイソトープ研究所は、放射性医薬品の全国の病院への搬送や原料となる放射性物質を海外から搬入しています。「放射性医薬品」とは(財)日本アイソトープ協会のホームページの説明によると、「ガンマ線という放射線を放出する少量の薬のことで、主に静脈から注射し、検査用のベッドの上で静かに横になっている間に、ガンマカメラで体の中の様子を画像(シンチグラム)にする方法に用いる」とありました。

千葉工場で製造される放射性医薬品は、主に脳、肺、心臓、腎臓、甲状腺、唾液腺、肝臓・脾臓、胃粘膜、骨のシンチグラム等に用いられるほか、甲状腺治療に用いるヨウ素製剤も製造しています。放射性物質としてテクネチウム(99mTc)を用いている製剤が多いのですが、その中で99mTcをリン酸化合物につけたものは骨に集まる性質があり、放射性のタリウム(201Tl)は心臓の検査に用いられるそうです。
この日は、週三回オランダとカナダから輸入している放射性原料が搬入される日であり、その様子も見学することができました。航空機で到着した原料は、成田空港から専用トラックで運ばれてきましたが、四角い荷台には、頑丈な石油缶程度の容器が固定されていました。中に、わずか100ミリリットル程度の液体の放射性物質が入っているのだそうです。

昼過ぎに届いた原料は、その日のうちに医薬品となり、翌日には全国の病院へ運ばれます。放射性医薬品には半減期という制約があるため、一般の医薬品に義務づけられている14日間の無菌試験はないそうです。ですから、製造工程は無菌状態を維持するために最新鋭のシステムを導入していました。

工場の放射性廃液は、貯留し、排水基準の半分まで放射性物質を減量させてから蒸留処理し、残渣やその他の放射性廃棄物は日本アイソトープ協会に処理を委託しているそうです。また、事業所の境界では、放射線量のモニタリングも行っていました。